「Away」を見た

去年チラッと情報を得てから気になっていたアニメ「Away」が先日からわが街でも公開され、わくわくしながら見に行った。

小さい映画館の、二つある上映室の小さい方。半分近くは埋まっていた気がする。

 

少し不穏な気配で始まった物語は、セリフや語りなど無いのだが、シンプルで味わい深い絵柄と音楽によってどんどん引き込まれていく。わりと気楽な冒険(成長)物語と勝手に思っていたので、予想外の緊迫感に、ちょっと…結構ドキドキするんやけど…などと思いながら。。

静かで美しい風景とそこに不似合いな影の存在。勇気を出し、目的地を目指してバイクで進み続ける主人公。力尽き、影に追いつかれて、もうだめとなってからの再生。援助の手。

様々なものが、様々なものを象徴していると思われ、心象風景とも思え、それは見る人それぞれに微妙に違うかもしれない。セリフがない分、いろんな解釈が許されると思う。

 

深淵あり、謎あり、しかも登場する生き物が愛らしく(大きくなるほど大雑把なところもラブリー)、植物の緑が輝き、青空が眩しく、漆黒の夜空には星がきらめき、、と風景がほんとに美しくて(ウユニ塩湖のようなシーン!)、そのあたりも全く好みであった。移動がバイクというところも。

相棒的な小鳥がとてもかわいく、好きすぎたので帰りにパンフレットを買って帰った。ちょっと高いと思ったけど、今どきはそんなものかもしれない。良い紙で全ページきれいなカラーだし。映画のパンフレットとか、もうかれこれ何十年も買ってなかったからな。。

 

このアニメのもうひとつ凄いところは、作者が3年半もかけて一人で作ったというところ。想像するだけでしんどそうだが、やはり情熱と確かなプランと忍耐があれば、できるということなのか。そして、その彼の次作はもっと大掛かりな作品をチームで作るらしいと知って、一人でできるということを経験したうえで、より大きなものを作るためにチームで動く、というのがなんか良いなあと思った。ひとりの良さも、チームの良さも、それぞれにあるからね。

 

さっき、他にどんなところで上映してるのだろうとふと気になって調べてみたら、立派で見やすい公式サイトがあったし(知らなかった…)、全国的に結構上映されていて、わが街ももう一つ大きい映画館でも上映を始めていた。人気が高まってるってことかな!と、ちょっと嬉しい。よく考えれば、ラトビアのよく知らない作者とは言え、アヌシーをはじめ多くの国際映画祭で賞を貰ってる作品なのだし、当然のこと。私が興行成績について心配してあげる必要など全くないのだ。老婆心でありました。。